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岡山地方裁判所 平成3年(わ)467号 判決

本籍

岡山県備前市伊里中七五八番地

住居

同市伊里中七二〇番地の一

画廊経営

橋本里志

昭和一二年二月一一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官水沼祐治出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金六万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、岡山市天神町一〇番一八号において、「橋本画廊」との名称で画廊を経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し簿外で絵画等を購入するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六二年分の実際の総所得額が三九八六万六三七七円、分離課税の短期譲渡所得が五九万一六一〇円で、これらに対する所得税額が一六五五万一〇〇円であるにもかかわらず、昭和六三年三月一二日、岡山県赤磐郡瀬戸町七〇番地所在の所轄瀬戸税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が一一五八万七六七七円、分離課税の短期譲渡所得が五九万一六一〇円でこれらに対する所得税額が二四二万五六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により、同年分の正規の所得税額一六五五万一〇〇円と右申告税額との差額一四一二万四五〇〇円を免れ

第二  昭和六三年分の実際の総所得額が六〇〇五万三六四八円で、これに対する所得税額が二五八八万二〇〇円であるにもかかわらず、平成元年三月一五日、前記瀬戸税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が一七九六万三二四八円でこれに対する所得税額が四四五万八〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により、同年分の正規の所得税額二五八八万二〇〇円と右申告税額との差額二一四二万九四〇〇円を免れ

第三  平成元年分の実際の総所得が一億一八〇九万七四二七円、分離課税の長期譲渡所得が一二二七万五三五九円で、これらに対する所得税額が五六四六万九〇〇〇円であるにもかかわらず、平成二年三月一五日、前記瀬戸税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が四二二三万六二六五円、分離課税の長期譲渡所得が一二二七万五三五九円でこれらに対する所得税額が一八五三万八五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により、同年分の正規の所得税額五六四六万九〇〇〇円と右申告税額との差額三七九三万五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

(注)( )内の算用数字は、検察官請求の証拠等関係カード記載の証拠番号を表す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(33)

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(20ないし32)

一  橋本春香の大蔵事務官に対する質問てん末書(18、19)

一  大蔵事務官作成の告発書(1)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(2)

一  大蔵事務官作成の売上金額調査書(6)

一  大蔵事務官作成の期首商品棚卸高調査書(7)

一  大蔵事務官作成の仕入金額調査書(8)

一  大蔵事務官作成の期末商品棚卸高調査書(9)

一  大蔵事務官作成の支払手数料調査書(10)

一  大蔵事務官作成の雑費調査書(11)

一  大蔵事務官作成の貸倒引当金繰戻額調査書(12)

一  大蔵事務官作成の青色事業専従者給与額調査書(13)

一  大蔵事務官作成の貸倒引当金繰入額調査書(14)

一  大蔵事務官作成の白色事業専従者控除調査書(15)

一  大蔵事務官作成の青色申告控除額調査書(16)

一  大蔵事務官作成の写真撮影てん末書(17)

判示第一の事実について

一  押収してある昭和六二年分の所得税の確定申告書一綴(平成三年押第七〇号の一)

判示第二の事実について

一  押収してある昭和六三年分の所得税の確定申告書一綴(平成三年押第七〇号の二)

判示第三の事実について

一  押収してある平成元年分の所得税の確定申告書一綴(平成三年押第七〇号の三)

(法令の適用)

1  該当罰条

所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑を併科)

2  併合加重

懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情最重の判示第三の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき刑法四五条前段、四八条二項

3  労役場留置

罰金刑につき刑法一八条

4  執行猶予

懲役刑につき刑法二五条一項

5  訴訟費用の負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 玉越義雄)

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